先日14日に発売になったばかりの米澤穂信の新作小説「本と鍵の季節」を読みました。やー、実に面白かったです。読み出したら止まらなくて一気に読破してしまいました。
この作品は図書委員の高校生 堀川次郎と松倉詩門が6つの謎に挑むミステリーです。
堀川次郎は高校二年の図書委員。
利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。
そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。
放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!
ホームズのような探偵と助手かと思っていたらさにあらず、微妙な距離の2人がお互いの利点を生かして事件を解決していきます。この掛け合いが良かったです。が、真相を見抜いた後に切ない展開になってゆくのです。表の推理だけではなく、その裏にある人間くささがこの作家の特徴ですが今回もその真骨頂を発揮していました。
そして最後にあんな展開になるとは!
米澤穂信さんは前から好きな作家ですので今回も期待値はかなり高かったのですが、もう期待以上でした。文体は普段本を読まない人でも読みやすく、しかし深いです。青春ミステリーとして秀逸な作品でした。